夏の詩

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どうやら、夏は終わったようだ。
乱立するビルが空を突き刺している。
どっかの誰かが起きているせいで、もう何回徹夜したのかわからない。
夏の太陽は正しく燃えていて海に溶ける。
遠くにあるはずなのに 行方を遮り突き刺される快感に
崩れる膝は、コンクリートの鉄板に焼かれ
巡る血がぐつぐつと煮え始める。

熱帯の水槽の中で
茹でられる頭の中で
ぼんやりと、何かを探す。

ああ、今頃、私は元気でやっているだろうか。

夏の薄い黄色の月は、
それはそれは優秀に満ち欠けて昇り。
月影が、雲の隙間から夜を映し出して、大体夜の7時くらいから光を照らそうとした。
死んだ太陽の余熱が収まらぬ空気に触れて、濡れたアスファルトのでこぼこの道が、
パレードのように通り過ぎていった豪雨の足跡を確かに遺していた。
死ぬことに懸命だった真夏の蝉達は、その願いを叶え、抜け殻を捨てた。

身体から湧き出して流れる汗を拭わずにそのまま見送れば、
それは少し清々しくて。
逆らわずに流れる汗が、少し強引な重力に連れていかれ、
開いたノートの罫線の上に、構うことなく身を投げていった。

『願わくば 四季の移り変わりの様に
寄せては返す波の様に
近づいては 遠のいていく
夏の死臭に 秋の風は冷たく薫る。
一緒に揺れないブランコのように
歩幅がだんだんずれていく。
君の、私を想う心が詠めずにいる。
しかし それでも 君だけは
どうか安らかに 幸あらんことを。』

やっときたかと共に歩いた夏が
ふと気がつくと後ろにとりつき
目を凝らして見えた星空をバックに
バーチャル花火と消えていった。

それはもう 非現実的で
綺麗でないわけがなかったんだ。

私だってたまにはさ、
サンダルを蹴り飛ばして
晴れか雨かを占いたいんだ。
間違ったって、誰も見ちゃいないんだから。

本物ではなかったとしても、
真実とは遠いものでも、
それが愛だと気付けなくても、

夢ではなかった。夏があった。