徒然の当然の自然な毅然

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4月下旬
徒然なるままに、仕事帰り。
帰る途中に、寄り道した。
東急ハンズで1300円する日記帳を購入し、
これから自分のものになる新しい手触りで、
何度も。ラミネート越しに表紙を撫でた。

なんとなく、喉が渇く。
この日記帳の見本品に触れた時分かった。
紙質は他の安いノートと比べ物にならない。
舐めると少し甘い糊と苦い何かの味がしそうだ。
そんな恥ずかしいことはしないが。
最初の1ページは、なんと書こうか。

そうだ、これはどうだ?
くしゃみをするにも少し緊張が走る車内。
どこかの学校。
言葉にならぬ掛け声が聞こえてきそうだ。
そんな放課後のグラウンドを横目に通り過ぎ。
私のはじまりには、一体何が相応しいか。
もっと自分の好きな字を書く練習をするんだった。
ビルの合間にお寺と墓地が出現した。
あそこに埋められれば寂しくないだろうか。
考える間もなく、すぐに見えなくなった。

日記なんて、誰が読むでもない。
好きなように書けばいい話じゃないか。
字なんて、読めればいいじゃないか。

1日目に、書くことはこれしかなかった。
仕事をしたあと、ふと思い立ち
日記帳を買った。
何を書くべきか悩んでいたら、
降りなければいけない駅で
乗り過ごしてしまった。特急電車。

駄目だろ。
そんなのかっこ悪すぎる。

すこし歪んだ文字で綴った言葉たちは
後悔なのか、反省なのか、それとも。
歪んだのは文字なのか、私なのか、世界なのか。
それとも、それとも。

こう、さ。
同じタイミングで電車がホームを出発するとするじゃない。
2台。

途中まで同じスピードで走っていると、
周りの景色は歪むのに、中でスマホをいじる
あの子のにやけ顔ははっきり見える。

でもほんの少し、電車のスピードが変わっただけで
その可憐なにやけ顔は風景に滲んであっという間に
人生の端っこに置いていってしまう。

だから、気がついたら、もう。
あの子の顔も思い出せない。
そういった気持ちを、綴ろうと思った。

コンビニのおでんの汁が美味しくて飲み干してしまうこと。
秋の夜空は思いのほか気持ちよくて眠くなること
君の背中は温かいこと
私の言葉はうたかたのように消えてしまうこと。
うたかたと言う言葉に納得がいかなかったこと。

ページをめくる度、ペンを入れようとする度
この綺麗な一枚を、そんな私の
私の何かで汚してしまってよいのかと
酷く酷く悩みながら、私は結局また。
今日も。

なんとなく、喉が渇く。
この日記帳の見本品に触れた時分かった。
紙質は他の安いノートと比べ物にならない。
舐めると少し甘い糊と苦い何かの味がしそうだ。
そんな恥ずかしいことはしないが。
最初の1ページは、なんと書こうか。

青春の1ページ?違うそうじゃない。

なんてことは無い、これはただ
日記すらうだうだ言い訳をして
最後までやりとげることのできない、私という一枚を、書くのか書かないのか。
ただそれだけの話なのだ。